Posted: July 26th, 2010 | Author: 森井 ゴンザレス | Filed under: Theater | Tags: ヨーロッパ, 戦争 | No Comments »
映画の感想がのびのびになってるので飛ばし気味に行きます。
カティンの森
評価 : ★★★☆☆
あらすじ
第二次大戦初期、ドイツとソ連がポーランドに侵攻した頃のお話。1939年、ポーランド東部にいたポーランド軍は、侵攻してくるソ連軍にほとんど抵抗せずに降伏した。捕らえられた兵隊は収容所に入れられたが、1940年頃、なんとソ連軍は捕虜のポーランド兵たちを虐殺してしまう。しかしこの事実は戦後、ポーランドが共産圏に組み込まれたことにより長らく公然の秘密とされてきた。事実をベースにした映画。
感想
将校の嫁さんが夫の帰りを待つというストーリーで、ずっと夫は生きてると思って待ち続ける。冒頭に、西側から迫ってくるドイツから逃げようとする人たちと、東からやってくるソ連軍から逃げようとする人たちが鉄橋の上で交錯するというシーンがあるんだけど、このときポーランドの人たちはさぞかし怖かっただろうなと思った。東西から一気に攻められるなんてね。
全体的にはデンマーク映画の『誰がため』に雰囲気が似てて、日本人があまり知らない英独仏以外の第二次大戦中のヨーロッパの国々の状況が分かる。デンマークにナチスに抵抗したレジスタンスがいたなんて知らなかったし、カティンの森事件も全然知らなかった。さっきWikipediaで調べてみたら、ポーランド侵攻でポーランド人かなり亡くなってる。映画として面白いかとか感動するかと言われると、とにかく暗くて重くて、進んで見たいと思える映画ではないと思うけど、ポーランドの悲劇を知ることはできます。事実、ロシアでは国営放送とかでTV放送されたらしいです。
Posted: January 25th, 2010 | Author: 森井 ゴンザレス | Filed under: Theater | Tags: イスラエル, 戦争 | No Comments »
評価 : ★★★★☆
イスラエル映画。1982年のレバノン内戦が舞台。主人公は19才のときに徴兵でイスラエル兵として戦場へ赴いた経験のあるアリ・フォルマン監督自身。戦後20年以上が経過してから急に戦争中の体験がフラッシュバックするようになったという戦友の話を聞かされて、自分自身も気味の悪いフラッシュバックを繰り返すようになった。しかし戦争の具体的な記憶はどうしても思い出せない。いったい1982年のレバノンでフォルマンはどんな体験をしてきたのか? 当時の戦友やジャーナリストのもとを訪ねて過去の自分を思い出そうとする、ドキュメンタリーとドラマの中間のような映画。
予告編からすごくおもしろそうで楽しみにしていた。一応高校の頃は世界史選択でそこそこマニアだったけど、中東の近現代の戦争の記憶はすっかり抜け落ちてる。なぜレバノンの内戦にイスラエルが介入したのかも把握せずに鑑賞したけど、アニメーションで生な戦争を見せつけられた感じ。ショックだった。
アニメなのにリアル
ジブリアニメと全然違って写実的。まるで映像をトレースしたかのような印象を受けるんだけどそうじゃないらしい。ちゃんと人間が描いていて、Adobe Flashとかいろいろ使ってアニメーションを作ってるそう。しかも3Dをあえて2Dに見せようとしたりしてるんだって。スゲー。
印象に残った映像表現を列挙。
- 夜の市街戦で照明弾がゆらゆら煙をたてながらゆっくり降りてくる感じがすごくリアルだった。不気味さが際立つ。
- 野戦で装甲車から機関銃をぶっ放しながら草原の道を抜けるシーンでは、銃口から飛び散る火花の様子が印象に残った。
- あとイスラエルの名物戦車、メルカバ。通信用に戦車からアンテナが伸びてるんだけど、この揺れ方もとても凝っていた。メルカバの重量感が伝わってくる。
こんな感じで、国産アニメーションでは見られないような、かといってハリウッドのアニメとも違う、リアリティーにこだわった表現方法。指を負傷して手の第一関節から先がない兵士が出てくるシーンもあり、かなり生々しかったです。アニメなのにリアル。
イスラエルをテーマにした映画を見る度に思うこと
全般的に際立つのやっぱりイスラエルの異質さだった。レバノンは中東では珍しいキリスト教徒が過半数を占める国らしいんだけど、イスラム教もシーア派、スンニ派がそれぞれいて、これにパレスチナ難民(PLO)も加わってカオス状態に。レバノンの内政にシリアが干渉したことでシリアと敵対してきたイスラエルも口を挟むようになり、PLOもいるってんで紛争はぐちゃぐちゃになった感じだったようです。
フォルマンが戦場から休暇でイスラエルに帰ってくるシーンがあるんだけど、ここも印象に残った。直接イスラエルに危機が及んでいるわけではないのに戦地に派遣されて若者が命を危険にさらしている。休暇で国に帰ってきてみると街ではセックス・ピストルズの曲なんかが流れてる。ディスコでは出征前に別れた恋人が激しい音に合わせて踊っている。自分は何のために戦っているんだろうという虚無感みたいなものが伝わってくる。映画の中のイスラエルからは、戦争するために戦争しているような印象を受ける。
僕はとてもいい映画だと思ったんだけど、この映画にはアラブ諸国からは反発があるらしい。フォルマンがどうしても思い出せなかった戦争中の記憶というのはベイルートで起こった虐殺事件のことなんだけど、映画ではイスラエルは傍観者として描かれている。レバノンのキリスト教徒がイスラム教徒を虐殺したわけだけど、イスラエル兵らは異常を関知しながらもどうすることもできなかった、というような描き方をしているわけ。でも実際のところ虐殺事件でキリスト教徒のグループはイスラエル軍の制服を着てイスラエル製の武器を携帯してたってんだから、イスラエルは傍観者だったという描き方はナイーブに過ぎるというか、イスラエルをイノセントに描きすぎなんではないかということらしい。一理あるかも。
実はこの映画、2009年のアカデミー賞外国語部門にノミネートされてて、『おくりびと』と受賞を争ったんだけど、僕的には断然この『戦場でワルツを』の方が面白かった。
蛇足
この映画は熊本市新市街のシネパラダイスで鑑賞したんだけど、なんと明日1月31日で閉館するらしい。知らなかった。Denkikanとシネプレックスにはずいぶん金にならないであろう単館系映画を見させてもらったので残念でならないです。
Posted: November 2nd, 2009 | Author: 森井 ゴンザレス | Filed under: Theater | Tags: アメリカ, イタリア, 戦争 | No Comments »
評価 : ★★☆☆☆
スパイク・リー監督作品。第二次大戦時のイタリアが舞台。ムッソリーニ降伏後のイタリアで、アメリカ軍とドイツ軍が戦う。米軍の黒人部隊の兵士達についてのストーリー。
4人の兵士は無能な白人司令官の砲撃ミスで同士討ちに合い、本隊と分断されてしまう。奇跡的な能力を持った子どもに導かれて山を越え、純朴な人々が暮らす山奥の村に身を寄せるというお話。
うーん、微妙だった。人種差別とかをテーマにした映画なわけだけど、村でかくまってもらうシーンが長すぎるし、戦争物っていうよりどっちかっつったらファンタジーな感じだった。確かに冒頭の戦闘シーンは結構グロいんだけど、『プライベート・ライアン』の圧倒的なリアリティーに比べるとかすんでしまう。中途半端な印象。
加えて黒人兵士とイタリア女性の恋、みたいなのも余計に感じた。というかセックスシーンは完全に余計。スパイク・リー的には黒人の男と白人の女がやるっていうのが人種差別へのアンチテーゼとして絶対に必要だったのかもしれないけど、マジで意味のないセックスだし気持ち悪かった。イタリア女性はむしろ別の兵士に惹かれてたっぽいんだけど、全然関係ないスケコマシ黒人と結局セックスしちゃうし。もうわけわかめ。
冒頭は現代のシーンで、まじめな郵便局員がイタリア系の移民を殺害するところから始まるんだけど、「あれにはこういう意味があったのか」的な終わり方をする。四人の黒人兵士のうち、誰が生き残って復讐を果たすのかが分からない展開。このやり方は結構良いと思った。とはいえ『タブロイド』で主役を演じてたジョン・レグイザモが前半にエロジャーナリストとして出てくんだけど、ほんとちょい役だった。なんかすっきりしない。
スパイク・リーには最初に人種差別が絶対的なテーマとして存在していたんだろうと思われる。映画として未完成な感じがする。もやもや感が残る映画だった。
Posted: November 4th, 2008 | Author: 森井 ゴンザレス | Filed under: DVD | Tags: リドリー・スコット, アメリカ, アフリカ, 戦争 | Comments Off
イギリスのコメディ。なかなか面白かった。4/5
主人公のエンジェルはロンドン警察(スコットランドヤード)一の検挙率を誇るスーパー警察官なんだけど、あまりに活躍するものだから上司たちが自分たちの仕事ぶりが霞むのを嫌気し、サンドフォードという田舎町に飛ばすことを決定する。
納得行かない主人公だが、しぶしぶ任地に赴く。婚約解消したかつての恋人のところに別れの挨拶をしに行くも煙たがられ、新しい恋人の存在を打ち明けられる始末。失意に打ちひしがれながら乗り込んだ列車の中でついにVodafoneの携帯は電波圏外となる。これほどの田舎町で主人公を待ち受けるのは想像を絶するぶったまげた人々の暮らしぶりであった。
未成年が平気でパブに入り浸り、警官が飲酒運転したり勤務中に酒飲んだり、万引き常習犯もお咎めなし。それなのに村は毎英国年美しい村ランキングで一位に選ばれている。つまりは村人たちが共謀して村の評判を傷つけるようなこと・ものについて隠蔽しているのである。
根が真面目な主人公はそのようないかさまだらけの村の常識に馴染めずにいるのだが、狭い村の中で連続殺人事件が発生し、村の暗部に切り込むことになる。果たして真相をイギリス中に知らしめることは可能なのか? 主人公の孤独な戦いが始まる。
この映画はまず第一に主人公を演じたサイモン・ペグの表情がとても面白い。驚いたときの顔とか。「ハァ?」っていう表情をよくつくる。
第二に、イギリスの田舎町の描き方が面白い。イギリス人が自分たちでコスプレをやっているっていうか。外国人は自分たちのことをこういう風に見ている、ということを知っていて、わざとそのステレオタイプ通りに演じているという感じ。
サンドフォードってのは実在する街で、ウェールズ方面にあるらしい。サンドフォード警察署には地元出身の警察官ももちろんいて、その中の一人のすごいじいさんの警察官は、全く聞き取れない言葉を喋る。そういう小ネタもすごく面白い。そういえば村上春樹のエッセイで、ギリシアを旅行していて理解不能な変な英語を喋る旅行者に出会ったので、「あなたは何人ですか?」と聞いたらスコットランド人、つまり英国人だったというネタが書いてあった。イギリス国内でもスコットランドやウェールズ地方の言葉は分かりにくいという共通認識があるのだろう。
これは『ぜんぶ、フィデルのせい』を見たときにも思ったけど、ヨーロッパの映画は登場人物たちの着ている服がいい。『ぜんぶ、フィデルのせい』では主人公の少女アンナが着ているニットがとても色が良くて暖かそうで、目を奪われてしまった。この映画で主人公が着ている私服も、特別お洒落というわけじゃないんだけど作りのいいシャツとニットで、この辺にヨーロッパの生活レベルの高さが表れてるんだろうなぁと思った。
最後ははちゃめちゃの銃撃戦になるんだけど、これは正直微妙だった。まぁコメディだからガンアクションにリアリティーを求めちゃいけないんだろうけど、夏に見たプライベート・ライアンやブラックホークダウンと比べると大いに見劣りするし、白ける。
とはいえ、痛快なコメディで、外国好き、イギリス好きの人ならほとんどが楽しめる映画じゃないかと思う。
Posted: September 22nd, 2008 | Author: 森井 ゴンザレス | Filed under: DVD | Tags: トム・ハンクス, アメリカ, スティーブン・スピルバーグ, 戦争 | Comments Off
プライベート・ライアンに引き続き戦争映画を見た。これは実際に93年にソマリアであった「モガディシュの戦闘」をベースにした作品だ。ノンフィクションの原作があり、それを『ハンニバル』のリドリー・スコットが映画化した。
一言でいうとこの映画はグロい。冒頭はトップガンみたいに、基地で兵士たちが冗談を言い合ったり和気藹々としてるんだけど、モガディシュの戦闘で一気に暗くなる。
モガディシュの戦闘とは、ソマリアに駐留するアメリカ軍が、アイディード将軍率いる反政府勢力の副官二人を誘拐しようとしたもの。当初、死者は出ず、30分程度で終わると考えられていた作戦だったが、様々なトラブルが相次ぎ、死者18人、70人以上が負傷するという結果となった。
タイトルの『ブラックホーク・ダウン』とは、無線交信の “We got a Black Hawk Down” に由来するらしい。旧式の装備しか持たないソマリアの民兵に、アメリカ軍のヘリコプターが撃墜されるはずがない。そう考えられていたのに、RPG-7というロケット弾で簡単にブラックホークが撃墜されてしまった。
撃墜されたブラックホークに搭乗していた兵士を助けるために救出隊が向かうのだが、墜落現場はソマリアの市民たちに包囲され、兵士は殺される。のみならず、遺体を引きずり出して裸にし、市中を引き回す。この映像が世界中に流れ、アメリカはソマリアからの撤退を決定し、以後の軍事介入に消極的になった。
アメリカ軍の死者18名に対し、ソマリアの民兵は300人から1000人が死亡したといわれている。死者数でいえばアメリカの圧勝だし、アイディード派の幹部を誘拐するという目標も達成されているので作戦成功のように思われるが、映画を見る限りアメリカが勝利したという印象は微塵もない。
リドリー・スコットといえば様々なグロ映画を撮ってきたことで有名な人だ。今回もプライベート・ライアンのオマハビーチ上陸シーンに負けず劣らずグロいシーンが登場する。RPG対戦車砲で下半身を吹き飛ばされ、上半身だけになってしまった兵士。同じくRPG対戦車砲の不発弾が体を貫通し、左腕を失う兵士。そしてそれを拾い、ポケットにしまう兵士。銃撃によって右手親指がちぎれそうになる兵士。民家に隠れて脚を負傷した兵士の応急処置をするシーンはとにかく痛そうだ。血圧を下げられないため麻酔なしで傷口に手を突っ込み、腿動脈を掴んで止血しようとする。
テレビに出てくるイラクやアフガニスタンに駐留するアメリカ兵たちは、防弾チョッキやヘルメットで完全防護されているような印象を受けるが、実際は敵の砲弾で四肢を失うリスクに晒されながら任務に従事しているのだ。
しかしこれこそがリアルな戦争であり、現実なんだと思う。自国の兵士にこれだけ悲惨な目に合わせながら守るべきものとはいったい何なのだろうか? 民主主義? アメリカの国益? 開発利権? 自由?
アメリカはこの事件が原因でアフリカの紛争への介入に消極的になったと言われている。ルワンダ大虐殺の犠牲者数が拡大したのはアメリカおよび国連の積極的な介入がなかったからだとも言われる。
一方でイラクやアフガニスタンのように、介入した結果、国際的な非難を受けることもある。
戦争の現実と、国際的な紛争の解決・介入について大いに考えさせられる映画だった。
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